普段は外から隔離された場所である自衛隊。地域交流のイベント等がない限り一般人は基本的に基地に入ることはできません。
自衛官の経験がない方は自衛隊について知らない事がたくさんあると思います。
今回は元航空自衛隊の私が私の教えられる範囲で航空自衛隊の中身を赤裸々に告白してしまいます。
尚、私が自衛隊で勤務していたのは17年ほど前になりますので、当時と現在では仕様が変わっている場合があります。予め、ご了承ください。
今回の記事は教育隊を卒業し、術科学校も卒業した上で正式に部隊に配属された時点での内容となっております。
航空自衛隊ってどんなとこ?
陸・海・空の中の「空」を担当する航空自衛隊。
航空自衛隊といえばパイロットですが、実際にパイロットとして働いているのは航空自衛隊で働いている人のうちの1%もいません。
今回は、残り99%の航空自衛官がどんな仕事をしているのか、気になるアノ話やコノ話など色々お話していきたいと思います。
どんなとこで働いているの?
航空自衛隊といえばパイロット。パイロットといえば航空機。航空機といえば滑走路。
となりますので自然と大きな基地を連想させるのですが、勤務地は大きな基地ばかりではありません。
私が勤めていた基地は最寄り駅からの交通手段がタクシーしかなく、片道30分もかかり、冬には雪が2mも積もるような山の上の僻地にありました。
大型の装備を伴う自衛隊の訓練には広大な演習場が必要となります。
滑走路があるような大きな基地なら別ですが、そうでなければ市街地に演習場を作るわけにもいきませんので結果的に市街地から離れたところに基地が存在することになります。
宿舎がある基地とは別の場所に演習場があり、訓練の際は演習場に移動して訓練といった形になります。
部隊配属後の勤務
勤務時間は基本的に8時から17時までで、基地警備のために夜勤をした場合は翌日は下番扱いとなり、休みがもらえます。
土曜日に基地警備の任務についた場合は、日曜日が下番となり、土曜日と日曜日の代休が後日もらえます。
勤務中はON/OFFが激しい印象です。
訓練中はそれこそ隊員全員目の色が変わって訓練に取り組み、ミスをすれば怒鳴られますが、訓練が終われば和気あいあいとした雰囲気で勤務中でも談笑します。
しかし、年に数回ある他部隊との合同演習訓練では他の部隊の目もあることもあって常にピリピリしており、心労が激しいです…。
他には、訓練以外にも基地内の草刈りや清掃、冬なら除雪なども仕事ですし、基地内で出たゴミも隊員が集めてゴミ処理場に運びます。
基地内のことは基本的に民間業者は介入できないので、すべて隊員で処理します。
自衛隊の挨拶
自衛隊の挨拶についてですが、そんなもん、敬礼やろ?
って思う方がほとんどかと思いますが、敬礼にも色々種類があります。
基本的に敬礼とは、帽子のツバに右手の斜めにあてるのをイメージされると思いますが、この敬礼は帽子をかぶっている時のみ行われる挨拶です。
自衛隊では屋内では基本的に帽子をかぶってはいけません。
なので室内で敬礼を行う際は、上半身を10度前方に傾ける、
「10度の敬礼」
が行われます。
私服をきて外出する際も帽子をかぶっていなければ正門から出る際に警備隊員の方に10度の敬礼を行います。
余談ですが、3佐以上の幹部は基地内の移動は基本的に専用車に乗車して移動するのですが、もし一般隊員が基地内を移動中に幹部の専用車が前照灯を点灯させて近づいてきたら、立ち止まって専用車に正対して敬礼しなければなりません。
災害派遣
大規模自然災害発生時の災害派遣も自衛隊の大事な職務の一つです。
現地での人命救助などは陸自がやる事が多いですが、空自としてはヘリや輸送機を使った物資や人員の輸送が主な任務となります。
また、空自では炊事車という、焼き物以外の汁物や炊飯などが同時に200人分まで調理できる設備を持っており、炊事車を使った配給などの後方支援を行います。
また、被災者に寄り添って心身のケアに努めるのも大事な仕事の一つです。
航空自衛隊のお給料
みなさん気になるのはやはりお給料ではないでしょうか。
高卒で入隊して1年目のお給料は私の場合ですの14,5万程度だったかと思います。
年齢と階級の上昇と共にお給料は上昇していきます。
ボーナスは年間で基本給の約5か月分で夏と冬に折半で年2回です。
自衛隊には基本給の他にも各種手当があります。
離島や山奥などに勤務しているともらえる僻地手当や、寒い土地に勤務しているともらえる寒冷地手当、パイロットなら航空手当などがあります。
また、自衛官候補生として入隊した方なら陸自なら2年ごと、空自と海自なら最初は3年、残りは2年ごとに任期満了手当が100万円弱もらえます。
しかし、自衛官候補生は任期制のため、10数年の勤務で退職を迎えることとなります。
部隊配属後の生活
自衛隊では基本的に起床は6時、消灯は22時となっていますが、部隊配属後は消灯後に騒がなければ何をしていても怒られることはありません。
マンガを読んだり、ゲームをしたりと様々でしたが、翌日の勤務に影響があるとかなり怒られます。
定期的に宿舎点検があり、その時はキレイにしておかなければいけませんが、それ以外の時は部屋がぐちゃぐちゃでも怒る人はいません。
髪型も短くなくても大丈夫で、肩まで伸ばしてる人もいました。染めるのはNGです。
トレーニングも自主的にやるもので、全くやらずに体重が100kg近い方もいました。
門限は23時で、翌日が休日ならば許可をとれば外泊も可能です。
ゴールデンウィーク、お盆、年末年始にも1週間ほどの連休がいただけます。
ただし、自衛官は全員「有事即応体制」であらなければなく、休暇中でも有事の際は即部隊に帰隊しなくてはなりません。
自衛隊の食堂の味は部隊によって違う
私が勤務していた部隊の食堂の味は割と普通でしたが、最初に勤務した教育隊の食堂の味は正直マズかったです汗
航空自衛隊の食堂で美味しいといわれているのが石川県の小松基地と北海道の千歳基地だそうです。
小松基地には訓練で一度いったことがありますが、確かにおいしかったです。
金曜日はカレー曜日
元々は旧日本海軍が船内勤務での曜日感覚を失わないようにするために金曜日にはカレーを出すようになっていたのですが、今では自衛隊全体で金曜日はカレーの日になっています。
ちなみに、海上自衛隊のカレーは船の揺れでルーがこぼれないようにルーのとろみが強いです。
イベント日には特別メニューも
元旦に部隊に残っている隊員で餅つき大会があります。
3月にはちらし寿司もでていましたし、夏には素麺や蕎麦もでます。
クリスマスにはデザートでケーキもでてきます。
WAF(女性自衛官)はみんなのアイドル
私が所属していた部隊は男性が200人ほどに対して女性は4人だけでした。
そしてWAFの方はみんなチヤホヤされてた印象です。
私の後から術科学校卒業して部隊に配属された方で、男性と女性が1名ずつ配属されてきたのですが、この2名の扱いの差が露骨で酷かった印象です。
最終的にこの男性隊員は1年ほどで自衛隊をやめてしまいました。
男性隊員は一般の女性と結婚される方が多いですが、WAFの方は同じ部隊の隊員と結婚される方が多いようですね。
最後に
航空自衛隊がどんなところか、なんとなくイメージができたでしょうか?
やる時はやる、休むときはしっかり休むといった印象でしょうか。
配属される部隊や人間関係によっても日々の充実感がかなり変わってくると思います。
あとは自分の職種が好きになれるかどうかでも意気込みが違いますね。
私はこの高射操作という職種と配属された部隊が好きになれませんでした…。
どなたかの参考になれば幸いです。