今回は、日本の資産運用における税制優遇施策の一つである個人型確定拠出年金「iDeCo」について説明していきたいと思います。
どうでもいいけどiDeCoってタイピングで打ちにくいわぁ…
老後資金対策にiDeCoはオススメか?
結論から申しますと、
どちらともいえない!!
なんじゃそりゃ!っていわれそうですが、それにはiDeCoのメリットとデメリットの比較をしていただくとなんとなくわかっていただけるかと思います。
iDeCoのメリット
メリット1:掛け金が全額所得控除
皆さん毎月のように所得税と住民税を支払っていると思いますが、この二つの税金はどうやって導きだされているかご存じでしょうか?
簡単に申し上げますと、
給与収入ー所得控除=課税所得
となります。
この課税所得に一定の割合で計算して、所得税と住民税が算出されるわけですが、課税所得が少なければ少ないほど所得税と住民税が少なくなります。
所得控除には一般的に「基礎控除」「配偶者控除」「社会保険料控除」などがありますが、iDeCoの掛け金はこれらの控除と同じように所得控除として扱われ、給与収入から差し引かれるので結果的に課税所得が少なくなり、所得税と住民税の支払い額が減額されるという仕組みです。
メリット2:運用益が非課税
コチラはNISAと一緒で、本来なら資産運用で利益が出た場合、その利益に対して約20%の税金がかかりますが、iDeCoではその税金が非課税です。
なので運用益はまるまる利益となります。
このように、iDeCoは所得控除による減税と、運用益の非課税という二重の税制優遇を受けることができます。
iDeCoのデメリット
デメリット1:60歳まで解約できない。
iDeCoは原則、60歳まで解約することができません。
一応できることはできるのですが、条件が非常に厳しく、事実上できないとされています。
どうしてもiDeCoへの拠出が苦しいといった場合は、一時休止手続きはできます。その場合、すでに支払った掛け金での運用は引き続き行われます。
iDoCoの運用は、無理のない範囲で行うのが鉄則です。
デメリット2:60歳到達後の解約時に課税される。
運用益が非課税なのに最後に結局課税するんかい!って話なのですが、iDeCoの解約時に運用益をまとめて受け取る場合、退職金として扱われるので、退職所得控除の対象になります。
退職所得控除の計算方法
退職所得=(退職金ー退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額の計算方法
勤続年数20年以下…40万円×勤続年数
勤続年数20年以上…800万+70万×(勤続年数ー20年)
例:勤続年数が30年の場合
800万+70万×10=1500万
なので、この例の場合、お勤め先の会社の退職金とiDeCoの運用益の合算が1500万以下ならば税金がかかりませんが、1500万を上回ってしまうと、その上回ったお金に所得税と住民税がかかります。
税制上有利とはいえ、掛け金を増やし過ぎても最後に税金として取られる可能性があるので、それも踏まえた上で掛け金を考えなければなりません。
デメリット3:解約時の株価暴落リスク
iDeCoの運用先には保険のような元本保証型の安全な資産もありますが、株式等リスクのある資産も当然あります。
こういったリスク資産で運用していて、60歳を超えたときにいざ解約しようとしてもたまたまその時に○○ショックで株価が暴落していたらもったいないですよね。
なのでそういったリスクに備えて、運用する資産の見直しは必須となります。
iDeCoは途中解約は原則できませんが、運用する投資商品の変更や、売却して利益確定してからの他の商品への投資は可能です。
大体50歳あたりから投資先の変更を考えたほうがいいでしょう。
例えば50歳まで「株式100%」で運用していたものを「株式20%債券80%」など、リスクの割合を変更していくことで60歳で解約したい時に株価が暴落していた際のリスクを軽減することができます。
また、60歳になったからといって必ず解約しないといけないわけではなく、70歳まではそのまま運用が続けられるので、60歳になった時に株価が暴落していたら、解約するのを保留にして含み損が解消されるのを待ってもいいかもしれません。
番外編:iDeCoは誰でもできるわけじゃない
税制上有利になるiDeCoですが、誰でもできるわけではありません。
勤め先の企業によっては、すでに企業型確定拠出年金を採用している企業もあります。
企業によって違いますが、基本的には企業型確定拠出年金を導入している企業ではiDeCoはできないようです。
できるかどうかは、お勤めの会社の総務部などに確認してみましょう。
最後に
少しでも支払う税金を減らしたい方には魅力的なiDeCoではありますが、NISAと比べると色々と制約があり、少々扱いずらいと思うかもしれません。
iDeCoで老後資金を備えようと考えている方は計画を立てて行うのがいいでしょう。